第189回相続コラム 知っておきたい故人の借金の調べ方 ~ 信用情報機関の活用

相続コラム

相続コラム

相続コラム

相続コラム

第189回相続コラム 知っておきたい故人の借金の調べ方 ~ 信用情報機関の活用

第189回相続コラム 知っておきたい故人の借金の調べ方 ~ 信用情報機関の活用

相続が発生した際には、現金・預金、不動産などのプラスの財産だけではなく、借金や負債などのマイナスの財産も相続することになります。仮に、プラスの財産よりも借金などのマイナスの財産が多い場合には、相続放棄を検討することになります。今回のコラムでは、相続放棄を検討する前提として、故人の借金などの調査方法を解説したいと思います。

 

相続の対象となる負債

相続の対象となる負債には、純粋な借金だけではなく、故人が負っていたあらゆる債務が含まれるため、様々なものがあります。具体例を挙げると、以下のようなものがあります。

住宅ローン
マイカーローン
銀行・消費者金融からの借入
クレジットカードのカードローンやキャッシング
個人間の借金
事業を営んでいた場合のローンや融資
連帯保証債務
滞納家賃
滞納水道光熱費
滞納税など

住宅ローンについては、団体信用生命保険などに加入している場合には、その保険金によって残債務が完済されるため、実質的には、負債を相続しないことになります。

 

信用情報機関の活用

銀行、クレジットカード会社、消費者金融等からの借入については、信用情報機関に情報開示を申請することによって、借金の有無やその額を調査することができます。

信用情報機関とは、加盟している金融機関における、個人のローンやクレジットの利用履歴を収集・管理している専門の機関です。誰がどこの金融機関からどのくらい借金をしているかなどの履歴を詳細に把握しているため、借金の有無やその額を、情報開示してもらうことによって、調査することができます。もちろん、無制限に誰でも情報開示申請が可能なわけではありませんが、相続人であれば、故人の信用情報を開示申請することできます。

信用情報機関には以下の3種類がありますが、各信用情報機関によって登録内容が異なりますので、全ての信用情報機関で情報開示をしてもらうのが基本となります。

 

JICC(株式会社日本信用情報機構)
https://www.jicc.co.jp/

CIC(株式会社シー・アイ・シー)
https://www.cic.co.jp/

全国銀行協会
https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about/

 

開示請求する際には、各信用情報機関に必要書類を提出して申請することになりますが、新型コロナウイルスの影響により、窓口申請が停止している場合がありますので事前に確認することが重要です。また、開示申請から回答までに数週間を要する場合もありますので、早めに開示申請することをおすすめします。実際に相続放棄するとなると、相続放棄ができる期間は3ヶ月と非常に短いため、注意しなければなりません。

 

自宅の調査

信用情報機関を利用した借金の調査は、非常に有効な手段ではありますが、開示された信用情報だけで100%全ての借金を把握できるわけではありません。例えば、個人間の借金などは、信用情報には載っていませんし、滞納している公共料金などについても信用情報には載ってきません。

ですので、地道な手段ではありますが、故人の自宅をしっかりと調査することも大切となります。具体的には、以下のような書類等を調査することになります。

契約書・契約書控え(金銭消費貸借契約書、借用書など)
請求書や督促状
通帳
振込明細書や振込証明書

借金やローンがある場合には、口座引落や振込によって返済していることが多く、通帳の履歴を確認することで、どのような借金があるのか判明することがあります。口座名義人が亡くなると、口座が凍結され、引落が停止され、督促状やお知らせ等が届くことがありますので、郵便物の確認も非常に重要です。

 

調査に不安のある方は専門家に相談

慣れない調査には手間と時間がかかってしまい、精神的な負担も軽くはありません。また、調査の結果、相続放棄を選択される場合には、短い期間の中で、家庭裁判所に申述し、手続きを行う必要があるため、その後の手続きも見据えて、専門家の手を借りるというもの一つの手段となります。

当事務所では、相続放棄を含む相続問題に関する相談を広く受け付けております。相談は初回無料となっておりますので、借金の調査や相続放棄についてお悩みのある方は、お気軽にご相談ください。