台風19号の被災者に対する相続放棄に関する特例措置
令和元年10月、日本各地に甚大な被害を与えた台風19号ですが、この台風に被災された方々を対象とする、相続放棄に関する特例措置について解説します。相続放棄について詳しくは「第15回相続コラム 単純承認、相続放棄、限定承認の3種類のパターン」をご覧下さい。
災害救助法の適用による熟慮期間の延長
令和元年10月、日本を襲った台風19号は「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」に基づき、「令和元年台風第19号による災害についての特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」(令和元年10月18日に公布・施行)で「特定非常災害」に指定されました。そして、令和元年10月10日現在、令和元年台風19号に際し災害救助法が適用された災害発生市町村の区域に住む相続人について、熟慮期間(相続の承認をするか放棄をするかを判断する期間)を令和2年5月29日まで延長する、とされました。
「台風19号に際し災害救助法が適用された災害発生市町村」については内閣府のホームページ(http://www.bousai.go.jp/taisaku/kyuujo/kyuujo_tekiyou.html)をご確認ください。
この特例措置の対象となる相続人は、あくまで令和元年10月10日に当該市町村に住む相続人が対象であり、例えば被相続人が被災者であるかどうかは全く関係なく、台風に関連して亡くなった方の相続に限られるということはありません。また、相続の対象となる不動産等の財産が対象地域にあるか否かも全く関係ありません。
相続発生が10月10日前後であるかどうかを問わず、熟慮機関の終期が10月10日以降となる相続の相続人の方であれば対象となります。相続人が相続の承認や放棄をしないで死亡した場合はその相続人に対し、相続人が未成年者や成年被後見人である場合はその法定代理人(親権者や成年後見人等)に対し、それぞれ同様の措置がされます。
他にも同じ政令で、台風19号の被災者の方々に対して、自動車運転免許証の更新期限の延長等の措置がとられています。詳しくは総務省のホームページ(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyokan01_02000095.html)をご参照ください。
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