第77回相続コラム 具体例で学ぶ遺言の撤回・修正方法

相続コラム

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第77回相続コラム 具体例で学ぶ遺言の撤回・修正方法

第77回相続コラム 具体例で学ぶ遺言の撤回・修正方法

遺言保管制度の開始も間近なこともあり、遺言に関する多くのご相談をいただいております。今回のコラムでは、一度作成した遺言の撤回・修正方法を具体例をもとに解説したいと思います。

事案

10年前に遺言書を書き、原本に封をして保管し、家族にコピーも配りました。しかし、その後の生活や家族の様子をふまえて、遺言書の内容を変更したいと考えています。遺言書の変更は可能でしょうか?どのように手続すれば良いでしょうか?

 

遺言の撤回・修正方法

遺言はいつでも自由に撤回したり、内容を変更したりすることができます。自筆証書遺言であっても公正証書遺言であってもそれは変わりません。遺言が撤回されると、撤回された遺言の効力は発生しないこととなります。

遺言者が前の遺言の内容に抵触する新しい遺言を作成したり、遺言と抵触する法律行為(例:子供に相続させるはずだった不動産を他の人に売却する)を行ったりした場合には、抵触する部分については遺言を撤回したとみなされます。遺言者が遺言書原本を故意に破棄した場合も遺言を撤回したものとみなされます。いずれも民法の規定です。

しかし、これらの方法で遺言の撤回や修正をすると、内容が不明確で誤解が生じたり、どの部分が抵触しているかについて混乱が生じたり、誰が遺言書原本を破棄したのかが明らかでなかったりと、相続人らの争いの元になる恐れがあります。

 

オススメの遺言の撤回・修正方法

当事務所では、遺言書の撤回や内容の変更については、前の遺言書の形式にかかわらず、新たに公証役場で公正証書遺言を作成することをお勧めしています。その上で、例えば以下のように新たな遺言書に撤回や修正部分を明記することで無用な誤解や混乱、争いを防ぐことができます。

全部撤回

遺言者は、※※年※※月※※日付で作成した自筆証書遺言を全部撤回する。

一部撤回・修正

遺言者は、※※年※※月※※日※※法務局所属公証人****作成同年第**号遺言公正証書による原遺言の第※条中「以下の預貯金を●●●に相続させる」という部分を撤回し、「以下の預貯金を〇○○に相続させる。」と改める。その余の部分は全て原遺言公正証書記載のとおりである。

 

遺言の撤回や変更について、生前のうちに家族に伝えることが難しい事情がある場合は、新たな遺言で第三者の遺言執行者を選任する方法や、遺言書の「付言事項」にご家族に向けたご自身の心情を詳しく記載しておく方法が考えられます。

 

当事務所でも遺言書に関する相談を幅広く承っております。お気軽にご相談ください。