第188回相続コラム 遺言をのこすならセットで考えたい遺言執行者の選任

相続コラム

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第188回相続コラム 遺言をのこすならセットで考えたい遺言執行者の選任

第188回相続コラム 遺言をのこすならセットで考えたい遺言執行者の選任

みなさんは何のために遺言をのこしますか?遺言をのこす理由は、十人十色で、様々な理由があるかと思いますが、それでも、「残されたご家族のために」遺言をのこすというのは共通している想いなのではないでしょうか。遺言があると、遺産相続がスムーズに進み、相続人の負担を軽減することができますが、遺言執行者を選任しておくと、より手続きを円滑に進め、また、無用な争いを回避することが期待できます。今回のコラムでは、遺言で遺言執行者を指定しておくメリットについて解説したいと思います。

 

そもそも遺言執行者とは

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人をいいます。遺言が執行される時には、遺言を書いた本人は亡くなっていますから、遺言の内容を自らの手で実現させることはできません。そこで、遺言を書いた本人の代わりに遺言の内容を実現させる人が必要となります。これが遺言執行者です。

遺言執行者は、遺言で指定することができます。遺言執行者を指定するかどうかは、原則として、遺言を書く者の自由意思に委ねられているため、遺言執行者を指定しないこともできます。遺言執行者が指定されていない場合には、相続人や受遺者(遺贈によって財産をもらい受ける人)が遺言の内容を実現させるための手続きを行うことになります。

ただし、子どもの「認知」や「相続人の廃除・その取り消し」を行う場合には、必ず遺言執行者が必要となるため、仮に、遺言で遺言執行者が指定されていない場合には、家庭裁判所にその選任を申し立てる必要があります。

 

遺言執行者を選任するメリット

相続人の手続き的負担を大きく軽減

遺言執行者は、「遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」と、法律上定められており、非常に強力な権限を持っています。
そのため、相続人の協力がなくとも、単独で、遺言の内容を実現するための手続きを進めることができます

遺言執行者が選任されていない場合には、基本的には、相続人が遺言内容を実現するための手続きを行うのですが、その「相続人」は一人とは限りません。相続人が多くなればなるほど、手続きが複雑なものとなっていきます。

例えば、故人の凍結された預金口座を解除したり、不動産の名義変更(相続登記)を行う場合には、相続人の署名や押印、印鑑証明書、戸籍謄本などが必要となります。財産を受け取る相続人が複数人いる場合には、全員分の署名や印鑑証明等が要求されます。

相続人の数が多い場合や、相続人同士が離れて暮らしている場合には、『手続きのたびに毎回、全員に必要書類を郵送し、署名や押印をもらって返送し…』など、手続き的負担が大きくなるのは容易に想像できるのではないでしょうか。

その点、遺言執行者が選任されていると、遺言執行者の署名・印鑑・印鑑証明書等があれば、必要な手続きを進めることができますので、遺言内容の実現がスムーズになります。

 

手続きを円滑に進め相続人間で揉めるリスクを軽減

遺言執行者がいない場合には、相続人が協力して、遺言の内容を実現する手続きを行う必要がありますが、中には手続きに非協力的な相続人がいるケースもあります。遺言の内容に不満があったり、または、自身が得しない手続きに消極的になるのは当然の心情です。また、相続人に、特段、非協力的な意図はなかったとしても、現役世代の方であれば、仕事や家庭のことで手いっぱいで、時間をつくるのが難しく、結果的に、手続きに非協力的になってしまったり、つい後回しにしてしまったりなんてケースも少なくありません。

手続きが滞ることによって、相続人間で不信感が募り、または、それをきっかけに「そもそもあの遺言はおかしい」など、争いに発展してしまうなんてケースもないとはいい切れません。

遺言執行者が選任されている場合には、相続人の協力の有無とは無関係に、様々な手続きを進めていけるため、相続人の手続き的負担・精神的負担を軽減し、相続人間でやりとりする機会を減らすことによって、争いが発生する機会も減らすことにつながるため、より円満に、より円滑に遺産相続手続きを進めることが可能となります。

 

遺言執行者として専門家を選任することもできる

遺言執行者を選任することによって、遺言内容の実現を円滑に進めることができるのですが、遺言執行者となった方は、遺言執行に関する強力な権限を有する反面、法的な義務を負うため、相続人の誰かを指定すると、その方に多大な負担を負わせることにもなりかねません。

遺言執行者がなすべきことについて詳しくは
第68回相続コラム 遺言執行者がすべきことって何?
をご覧下さい。

そのような場合には、遺言執行者として、相続人以外の専門家を指定すると、特定の相続人に大きな手続き的負担をかけるということを回避することができます。もちろん、専門家に依頼すると、その分、費用はかかってしまいますが、例えば、弁護士や司法書士などの法律の専門家が遺言執行者となると、相続人への適切な説明を行った上で透明性の高い手続きをしてもらえるので、安心して遺言の執行を任せることができます。

遺言執行者となってほしい、また、遺言執行者に指定されてしまったけれどどうしたらいいのかわからないなど、遺言執行者に関することでお悩み・お困りの方は、相談は初回無料となっていますので、遺言執行案件を多数取り扱っている当事務所までお気軽にお問い合わせください。