第185回相続コラム 口座凍結に備える遺言書 最短期間で口座凍結解除する方法

相続コラム

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第185回相続コラム 口座凍結に備える遺言書 最短期間で口座凍結解除する方法

第185回相続コラム 口座凍結に備える遺言書 最短期間で口座凍結解除する方法

被相続人が亡くなると、故人名義の銀行口座は凍結されてしまいます。口座が一度凍結されてしまうと、その解除に一定の手続きが必要となるのですが、実は、事前の相続対策によって、解除に要する期間に大きな違いが生じます。今回のコラムでは、相続発生時に口座凍結を最短で解除する遺言書の活用法を解説したいと思います。

 

口座が凍結されるとお金が引き出せません

銀行口座の名義人の方が亡くなると、正確には、名義人が亡くなった事実を銀行が認識すると、その口座は凍結されてしまいます。口座が凍結されると、預金の引き出しはもちろん、振込も引落も全て停止されます。

相続発生時には、ただでさえ葬儀費用や入院・療養時の治療費など、何かと出費がかさむところ、当てにしていた被相続人の口座が一切使えないとなると、相続人の資力によっては、それらの支払費用を捻出するのに苦慮することになります。

また、口座名義人に生活を依存している方や、夫婦の生活資金をまとめて一方の名義の口座に預けているような方は、その口座が凍結されてしまうと、生活費の支払が一時的に困難になり、生活に困窮してしまうおそれがあるため、特に注意が必要です。

 

口座凍結を最短で解除するには

口座凍結解除の方法について詳しくは「第138回相続コラム 故人の銀行口座から預金を引き出せない!? 口座の凍結とその解除方法」で解説していますが、事前の相続対策、具体的には遺言の有無によって、凍結解除にかかる期間が大きく異なります。

 

遺言がない場合

口座名義人である故人が遺言をのこしていない場合には、口座凍結解除には遺産分割協議書の提出が必要となります。遺産分割協議は、遺産構成や相続人の人数等によって、その成立にかかる期間は変わってきますが、遺産分割協議が有効に成立するためには相続人全員の合意が必要となるため、短くない期間を要するのが一般的です。場合によっては数ヶ月かかるというケースも珍しくありません。

遺言がないと、口座凍結解除には遺産分割協議書の提出が必要
遺産分割協議が長引くと長期間預金を引き出すことができない

 

遺言書がある場合

口座名義人が遺言書をのこしており、その遺言書で預金取得者が定められている場合には、面倒な遺産分割協議をすることなく、その遺言書をもとに口座凍結を解除することができます。

遺言をのこすことの大きなメリットのひとつは「遺産分割協議が不要となる」ことであり、そのメリットは、口座凍結という場面では、解除までの期間を最短にします。

 

遺言の種類と検認に注意

遺言を発見した際には、検認という手続きが必要なケースがあります。この検認を怠ると、罰則があり、また、検認が必要な遺言を口座凍結解除に利用する際には、検認した結果を記す、検認調書という書類の提出も要求されるのが通常です。そして、検認という手続きは、家庭裁判所に申し立てて行われるのですが、申し立てから実際に検認する検認期日まで、1ヶ月~2ヶ月程度かかるのが一般的です。

つまり、遺産分割協議を省き、スムーズな口座凍結解除を可能とするために遺言をのこしたとしても、それが検認が必要な種類の遺言であったとしたら、検認に数ヶ月かかってしまうこともあり、本末転倒になりかねません。

ですので、口座凍結解除を視野にいれた相続対策として遺言を作成される際には、検認が不要な遺言を作成することが大切となります。具体的には、公正証書遺言で作成するか、または、自筆証書遺言で作成した場合には、遺言書保管制度を利用します。

公正証書遺言は、公証人という専門家に遺言を作成してもらうため、検認が不要であるだけでなく、様式の不備等で遺言自体が無効となるリスクを回避できるため、迷ったら公正証書遺言を作成されることをオススメします。

公正証書遺言について詳しくは
第6回相続コラム いまさら聞けない遺言の基本3」をご覧下さい。

 

口座凍結解除と遺言まとめ

凍結された口座を最短で解除するためには、面倒で時間のかかる遺産分割協議を省くべく、予め遺言をのこしておくことが大切です。また、遺言について、検認が必要となると、その分、凍結解除が遅れてしまうため、検認が不要な公正証書遺言等を利用するのが重要となります。

当事務所では、相続に関するご相談を広く受け付けております。初回無料ですので、相続対策や口座凍結解除について、お悩みの方は、お気軽にご相談ください。