第142回相続コラム ご家族に認知症の方がいる場合に遺言を残しておきたい理由

相続コラム

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第142回相続コラム ご家族に認知症の方がいる場合に遺言を残しておきたい理由

第142回相続コラム ご家族に認知症の方がいる場合に遺言を残しておきたい理由

社会の高齢化が進むにつれ、認知症を発症する方の割合も年々増加しています。人生100年時代を見据えて、様々なリスクに備えた対策が重要になってきます。今回のコラムでは、ご家族に認知症の方がいる場合に遺言を残しておくべき理由について解説したいと思います。

 

認知症と遺産分割協議

相続が発生し、遺言がなかった場合には、故人の遺産は相続人全員の共有財産となるのが基本となります。この共有状態を解消し、具体的に誰がどの財産を相続するのかを決めるために、遺産分割協議という手続きが必要になります。凍結された口座の解除や不動産の名義変更をするためにも必要となる重要な手続きです。

しかし、相続人の中に認知症を患っている方がいる場合には、そのままでは遺産分割協議を進めることはできず、認知症の方に代わって協議に参加する成年後見人という者の選任が法律上必要になります。

成年後見人を選任するためには、その手続きを家庭裁判所に申立てる必要があり、手続きが煩雑なだけではなく、成年後見人はあくまで被後見人(認知症の方)の利益を代弁する者として行動する必要があるため、融通が利きづらいという側面があります。

例えば、相続人全体の節税効果を踏まえて遺産を分配しようとしても、その内容が形式的に被後見人の不利益となっていれば、後見人は立場上同意することができないので、遺産分割協議の成立に必要な相続人全員の同意を形成することが困難になります。成年後見人にご家族以外の専門家等の第三者が選任されるケースも増えており、ご家族との意見の食い違いが生じ、かえって遺産分割協議が難航することもあります。

また後見人には一定の報酬(月数万円程度)を支払う必要があります。一度選任された後見人は、原則として、認知症が改善されるまで、生涯ずっと後見人であり、報酬も発生し続けてしまいます。

 

認知症の方がいる場合に遺言を残す理由

ご家族の中に認知症の方がいる場合には、民事信託という特別な手段もありますが、簡易で効果的な対策として、遺言を残しておくことを強くオススメします。

遺言で具体的に誰が何を相続するのかについて決めておけば、遺産分割協議自体を省くことができますので、面倒な遺産分割協議なしに口座の凍結解除や不動産の名義変更等が可能になります。また、遺言で遺言執行者も定めておけば、更にご家族の手続き的負担を減らすことも可能です。

 

ご家族に認知症の方がいる場合の遺言でお悩みの方へ

当相談所は、相続や遺言について広く相談を受け付けております。残されたご家族に無用な負担をかけずにスムーズな相続を実現させるために、どのように遺言を作成すれば良いのか、親切丁寧にアドバイス致します。また民事信託を活用した柔軟な相続対策についても、ご相談頂けます。相談は初回無料となってますので、お気軽にご相談下さい。