第141回相続コラム 遺言書で具体的に何ができるのか?遺言の効力について徹底解説

相続コラム

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第141回相続コラム 遺言書で具体的に何ができるのか?遺言の効力について徹底解説

第141回相続コラム 遺言書で具体的に何ができるのか?遺言の効力について徹底解説

相続対策の重要なツールとして様々な場面で活躍する遺言書。ご自身の遺産を「誰にどのくらい譲るのか」を決めるというのが、よく知られた遺言の効力ですが、遺言には他にも様々な法的効力が認められています。今回のコラムでは、遺言書で具体的に何ができるのか、遺言の効力について解説したいと思います。

 

相続分の指定

遺言書がない場合には、原則として、法律で定められた相続分=法定相続分に従って遺産を相続人間で分けることになります。

例えば、夫が亡くなり、その妻と長男・長女が相続人というケースでは、法定相続分に従うと、妻が遺産の2分の1、長男と長女が遺産の4分の1ずつ相続することになります。

しかし、遺言書によって、誰がどんな割合で相続するのかを指定することによって、法定相続分とは異なる割合で遺産を譲り渡すことができます。例えば上記の例ですと、「妻に4分の1、長男に4分の1、長女は妻の面倒も見てくれてるから2分の1」など、法定相続分とは異なる割合の指定ができます。

 

遺産分割の方法の指定と分割の禁止

相続分の指定は抽象的な取り分・割合の指定ですが、具体的な遺産の分割方法を指定することもできます。例えば、「妻に自宅を相続させ、長男に会社の株式、長女に銀行預金を相続させる」など、割合ではなく、具体的な分け方を指定することもできます。

また、一定期間(5年以内の期間)、相続人に対して遺産分割を禁止することが可能です。例えば、相続人の中に、未成年の者がいる場合に、その者が成年してから遺産分割をして欲しいというような場合に活用されます。

 

相続人以外の者に贈与(遺贈)

遺産は、原則として、相続人に相続されますが、遺言によって、相続人以外の者に財産を譲り渡すことができます。例えば、そのままでは相続人になれない内縁の妻や夫、お世話になった人や支援したい団体などに、遺言を残すことで財産を譲り渡すことができます。

 

子の認知

婚姻関係にない女性との間にできた子を遺言で認知することができます。婚姻関係にない女性との間にできた子は、そのままでは父子間に親子関係が存在しないものと法律上扱われますので、親子関係を発生させるためには認知という手続きが必要になります。その認知を遺言で行うこともできるのです。認知された子は、法定相続人となるため、遺産を相続することが可能になります。

 

相続人の廃除

相続人になる予定の方(推定相続人)の中に、自分を虐待したり、重大な侮辱をした者がいる場合に、その推定相続人を相続人から除外する手続きを相続人の廃除といいます。通常、相続人の廃除は、被相続人が家庭裁判所に申立てを行い、手続きをする必要があるのですが、遺言によって相続人を廃除することもできます。遺言によって相続人を廃除した場合には、遺言執行者が家庭裁判所に廃除の申立てを行うことになるので、遺言書には「誰の相続権をどんな理由で廃除するのか」を書き残しておくことが必要になります。

 

遺言執行者の指定

遺言の効力が発生する時点では、遺言を書いた遺言者本人は亡くなっているので、自身の手で遺言の内容を実現することはできません。そこで、遺言者に代わって、遺言の内容を実現する遺言執行者を指定することができます。遺言執行者を指定するか否かは、遺言者が自由に決めることができますが、子の認知や相続人の廃除を遺言で行う際には、必ず遺言執行者を指定しなければなりません。

 

後見人の指定

遺言書では、遺言執行者の指定の他にも、後見人を指定することも可能です。例えば、残された子が未成年であり、遺言者の死亡により親権者が不在となるような場合には、後見人を指定することで未成年の子の財産管理等を委ねる事ができます。

 

遺言の効力まとめ

遺産を誰にどのように相続させるのか指定するだけではなく、様々な効力を持たせることができる遺言。自身の死後も残されたご家族が安心して暮らせるように、遺言を上手に活用していきたいところです。当事務所では、皆様のご要望に沿った相続を実現させるための遺言を作成するお手伝いをさせて頂いております。遺言や相続に関する無料相談も行っておりますので、お悩み・お困り事のある方は、お気軽に当事務所までご相談下さい。