第198回相続コラム 高額療養費の還付 相続人も請求できます

相続コラム

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第198回相続コラム 高額療養費の還付 相続人も請求できます

第198回相続コラム 高額療養費の還付 相続人も請求できます

「長い闘病生活の末、お亡くなりになった」など、故人の生前の医療費が高額になってしまうケースは少なくありません。医療費の支払が一定額(自己負担限度額)を超えた場合には、超えた分の払戻しを受ける高額療養費制度というものがあります。故人が高額な医療費を支払い、払い戻しを受ける前に亡くなった場合には、その相続人の方が高額療養費の払戻しを請求することができます。今回のコラムでは、高額療養費制度について、請求先、請求方法などを詳しく解説したいと思います。

 

高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(1日から月末まで)で上限額(自己負担限度額)を超えた場合に、その超えた金額の払戻しを請求できる制度です。

この高額療養費制度は、国民健康保険、後期高齢者医療制度、健康保険などの公的医療保険の加入者が請求することができます。公的医療保険に関する制度なため、いわゆる保険対象外の治療や投薬を受けた場合や、差額ベッド代、入院中の食事代などは医療費の計算に算入することはできません。

高額療養費の払戻しは、被保険者の方が亡くなっている場合には、相続財産として、相続人が請求することができます。

 

高額療養費の計算方法

高額療養費として戻ってくる金額は、支払った医療費と自己負担限度額との差額になります。自己負担限度額の計算については、加入している保険や被保険者の年齢・所得によって異なります。

国民健康保険・後期高齢者医療制度の場合

自己負担限度額の計算

計算が複雑なので計算例を掲載します。

なお、故人の複数の受診や同一世帯にいる家族の自己負担額を1ヶ月単位で合算して申請できる「世帯合算」や、同世帯で直近12ヶ月に3回以上自己負担額を超える医療費がかかった場合に、4回目以降はさらに自己負担額が軽減される「多数回該当」という仕組みもあり、それらを活用すると更に高額療養費として払戻せる額が増加します。

参考:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html

健康保険・共済組合等の場合

故人が加入していた保険が、国民健康保険・後期高齢者医療制度以外(健康保険や共済組合等)の場合には、その保険者によって計算式が異なりますので、保険証記載の各『保険者』のホームページや窓口にてお問い合わせ、ご確認ください。

参考:協会けんぽ
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3030/r150/

高額療養費の請求方法

高額療養費の請求先や必要書類は下表にまとめました。

請求期限は、診療月の翌月から2年で消滅時効にかかってしまうので、それまでに請求する必要があります。また、裏を返せば、未請求のものがあれば、2年前の分までは、請求することが可能なため、治療・療養が長期に渡って行われたケースなどでは、遡って確認することが大切です。

 

おわりに

今回のコラムでは、高額療養費制度について解説しました。人が亡くなると、様々な公的手続きや、相続に関する手続きが必要となります。公的な給付金や還付請求などは、自ら申請・請求しないと受けることができないものがほとんどです。葬儀や法要に追われ、精神的にも余裕がない状況下で各種制度について調べることは難しいため、いざという時のために各種手続きについて知っておくことは大切です。

当事務所では、相続に関するご相談を広く受けております。相続の手続きで、わからないこと、お困り事がありましたら、ご相談ください。また、事前の備えとして、相続対策についてのご相談もお受けしております。初回相談は無料となっておりますので、相続に関することなら何でも、お気軽にご相談ください。