第64回相続コラム 信託の相続における活用例 – 遺産の活用

相続コラム

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第64回相続コラム 信託の相続における活用例 – 遺産の活用

第64回相続コラム 信託の相続における活用例 – 遺産の活用

近年相続対策の一つとして注目されている家族信託。過去何回か家族信託についてのコラムを書いています。今回も家族信託のご相談事例から家族信託の活用法を説明していきたいと思います。信託の基本的な仕組みについては「第59回相続コラム 最近注目の家族信託とは?」をご参照ください。ご相談例を紹介します。

相談事例

私(Aさん)は今年80歳になります。内縁の妻(Bさん)と二人暮らしですが、二人とも子供はいません。自分が亡くなった後、内縁の妻の生活に不自由がないように、自宅や預金を私の弟や妹ではなく、相続人ではない内縁の妻に全て譲りたいと考えています。また、相続人がいない内縁の妻が亡くなったあとに残った財産は、私達2人がお世話になっている社会福祉法人Cに寄付したいと考えています。私は遺言書をどのように書けばよいでしょうか?

内縁関係とは
夫婦としての実質をもちながらも、婚姻の届出を欠いているために法律上の夫婦と認められない関係のことをいいます。

対策がない場合

AさんとBさんは内縁関係であるため、Aさんが亡くなってもBさんはAさんの法定相続人ではないため、Aさんの遺言書がなければBさんがAさんの遺産を相続することはできず、Aさんの遺産は全てAさんの弟や妹が相続することとなってしまいます。また、Bさんには相続人がいないため、何の手立てもしなければBさんが亡くなったあとに残った遺産は全て国庫に帰属することとなってしまいます。

 

遺言書で家族信託を設定する方法

Aさんのご希望を実現する方法として遺言書で以下の信託を設定する方法が考えられます。

Aさんの死後、受託者を信頼できる第三者専門職、受益者をBさんとして、Bさんが存命の間は受託者がBさんに必要な生活費等についてAさんの遺産から給付を行うこととします。また、Bさんの死亡によりこの信託は終了することとし、残った財産の帰属先は社会福祉法人Cと指定します。

こうすれば、Aさんの死後のBさんの生活は守られ、かつAさんの遺産は、内縁の妻のBさんを経て、最終的に社会福祉法人Cに寄付することが可能になるのです。

 

信託を活用する際には注意が必要

このように実現できる相続対策が遺言書よりも大きく広がる家族信託ではありますが、ご家族ごとに置かれているご状況やご希望は全く異なることもあり、信託契約書はただ雛形にあてはめて安易に作成しても不備があると逆にトラブルの元になりかねず、慎重かつ丁寧な検討が不可欠です。

当相談所では、信託契約書の作成のご依頼があった場合、入念にご事情やご希望をお伺いすることは勿論、当事務所の複数の司法書士で文案の作成検討を行い、税理士等他の専門家の協力を得ながら、信託契約書の作成をサポートさせていただきます。是非ご相談ください。