第167回相続コラム 「元彼の遺言状」を観る際に知っておきたい相続の知識

相続コラム

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第167回相続コラム 「元彼の遺言状」を観る際に知っておきたい相続の知識

第167回相続コラム 「元彼の遺言状」を観る際に知っておきたい相続の知識

「元彼の遺言状」 4月11日 夜9:00スタート

本日 4月11日夜9:00から、フジテレビ系のいわゆる「月9」枠として、注目のドラマ「元彼の遺言状」が放送されます。

「元彼の遺言状」は、2021年「このミステリーがすごい!」で大賞を受賞した新川帆立さんによる同名小説を原作とするリーガルミステリードラマ。クセの強い登場人物の掛け合いやミステリーの謎解き要素に加え、著者の新川帆立さん自身が弁護士資格を有し、法律的考証もしっかりとしているため、相続や遺言に興味のある層には、よりいっそう楽しめる内容となっているのではないでしょうか。

ドラマ版では、主演の綾瀬はるかさんと、大河ドラマや紅白司会などで話題の大泉洋さんとのコラボにも注目が集まっています。“勝ち”にこだわる敏腕弁護士役を綾瀬はるかさんがどう演じるのか、綾瀬はるかさん演じる主人公と共謀して巨額の遺産を狙うミステリアスな役どころに挑む大泉洋さんから目が離せません。

ドラマ「元彼の遺言状」 – フジテレビ公式サイト
https://www.fujitv.co.jp/motokare/

原作「元彼の遺言状」 – 宝島社
https://tkj.jp/campaign/motokare/

 

「元彼の遺言状」 を観る際に知っておきたい相続の知識

タイトルにもなっている元彼が残した遺言状。その中身が「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という強烈な内容となっています。

殺人の是非はともかく、相続や遺言に関する法律知識があると、「相続欠格」や「公序良俗違反」という法律用語が頭をよぎります。

「元彼の遺言状」と相続欠格

「相続欠格」とは、法律に規定される不正な事由(相続欠格事由)が認められる場合に、その不正を働いた者の相続権を失わせる制度です。相続欠格事由として「故意に亡くなった方を死亡するに至らせ、刑に処せられた人」という規定があり、被相続人を殺害した犯人は遺産を相続できないことになっています。

ただし、正確には、殺害後、「刑に処せられた人」が相続権を失うので、刑事事件として処罰されなければ、遺産を相続することは可能です。

相続人の欠格事由
民法 第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

相続欠格について詳しくは
第13回相続コラム相続権を失ってしまう相続欠格とは?」をご覧下さい。

 

「元彼の遺言状」と公序良俗違反

普段生活する中で、人は様々な契約行為を自由に行うことができますし、遺言であっても、自身の意思で、好きな人に好きなように財産を譲ることができるのが原則です。

しかし、全くの自由というわけではなく、例えば、殺人契約や愛人契約など、社会秩序を乱すような内容の契約などは法律上無効となります。

民法九十条(公序良俗違反)
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

「元彼の残した遺言状」の内容は、「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という、まさに殺人を遺産を譲る条件としているため、公序良俗違反の遺言として、法律的に無効になるのではないかという疑問が生じます。

主人公の弁護士が、「相続欠格」や「公序良俗違反」をどのように捉え、対処していくのか、法律的視点でドラマを観るのも面白いのではないでしょうか。