第133回相続コラム 相続対策に不動産購入が効果的な理由
- 2021.08.06
- 知って得する相続対策
- 不動産, 小規模宅地等の特例, 相続対策
相続対策の中で重要なウェイトを占める相続税対策。特に多くの資産を保有する方にとっては、いかにして相続税を節約するかというのは重要な関心事ではないでしょうか。今回のコラムでは、相続対策(相続税対策)としての不動産購入が効果的な理由について解説したいと思います。
不動産の購入がなぜ相続対策になるのか
現金よりも相続税評価額が下がる
不動産を購入すると相続対策になる主な理由は、不動産の相続税評価額が、現金等の他の財産と比較して低くなる傾向にあるからです。
相続税評価額とは、相続税を計算するときに基準となる財産の価格のことを言います。相続税の課税対象となる財産の評価は、基本的には財産相続時の時価をもとに行われます。
しかし、土地や建物などの不動産の相続税評価額は、土地であれば路線価、建物であれば固定資産税評価額で判断されるため、時価(実勢価格)よりも低く評価されることがほとんどです。不動産の種類によって、評価方法は異なってきますが、路線価も固定資産評価額も、時価の2割~3割ほど低く評価されることが多く、その差額分にかかる税金を節約することができます。
例えば、現金1億円を相続すると、相続税評価額はそのまま1億円となり、1億円に課税されることになります。しかし、現金1億円で1億円の不動産を購入し、その相続税評価額が8000万円と判断されると、8000万円に課税されることになり、2000万円にかかる税金分、節約することが可能となります。また、相続税は、相続される財産が大きくなればなるほど、その税率が上がってしまうので、課税される財産を少なくすると税率も下がって、その分節約になります。
賃貸不動産なら更に相続税評価額が下がる
現金を不動産に換えると、相続税評価額が低くなることで相続対策になりますが、それが賃貸不動産であれば、さらに効果的になります。自宅として利用することを目的とした不動産よりも、人に貸すことを目的とした賃貸不動産の方が、相続税評価額が2~3割程度低くなるためです。
小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例とは、被相続人が住んでいた土地や事業用の土地について、一定の要件を満たす場合には、最大80%まで相続税評価額が減額される特例です。
例えば、被相続人の自宅の敷地の相続税評価額が1億円だったとします。この土地に小規模宅地等の特例が適用されると、2,000万円の評価で相続税を計算することが出来ることになります。
被相続人が住んでいた土地や事業用の土地は、相続人の生活基盤となりうる非常に重要な財産であり、そのような財産にフルで相続税をかけてしまうと、相続人の生活の基盤が失われてしまう危険性があるため、大幅に評価額を減らすことができる特例が設けられているのです。
不動産購入時にはリスクにも注意
相続税対策としての不動産購入には、大きな節税効果が認められる反面、不動産の価値の下落などのリスクもあります。小規模宅地等の特例を受けようと思っても、大きな節税効果が認めらる反面、適用されるための要件も厳しいものとなっています。また、節税を重視して、現金・預金が少なくなると、相続税を支払うための原資が不足してしまうおそれもあります。
実際に、相続対策として不動産を購入される場合には、専門家に相談の上ご購入されることをオススメします。当事務所でも、税理士と連携して、相続税対策の各種シミュレーションを行ったり、独自のネットワークにより構築した信頼できる不動産業者をご紹介することも可能です。相続や遺言のみならず、相続対策でお悩みの方は、お気軽に当事務所へご相談ください。
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