第132回相続コラム 二次相続まで考慮した相続対策が効果的な理由
- 2021.07.30
- 知って得する相続対策
- 二次相続, 相続対策, 相続税

相続対策には、相続税をいかに節約するかという大きな課題があります。相続税の対策としての相続対策。これを考える際には、二次相続まで考慮する必要があり、二次相続を考慮せずに対策を施すと、かえって相続税が膨らむ場合もあります。今回のコラムでは、相続税対策としての相続対策について、二次相続を意識した対策の必要性について解説したいと思います。
二次相続とは
例えば、父と母と子という家族構成の場合、父が亡くなると、母と子が相続人となり、この相続を「一次相続」と言います。そして、その後、母が亡くなると子がその相続人となり、この相続を「二次相続」と言います。
一次相続と二次相続によって、親世代の全ての財産は子世代に受け継がれることになります。一次相続時に相続税が最も安くなる方法を選択したとしても、その選択した方法によって二次相続時の相続税が高額になってしまうと、最終的に子世代に受け継がれる財産は大きく減少してしまうことがあります。
最終的に子世代に残す財産を多くするためには、一次相続だけではなく二次相続も考慮にいれた対策が必要になるのです。
二次相続を無視した相続対策がなぜ損をするのか
二次相続を無視した相続対策をすると、かえって子世代に残す財産が少なくなる場合があります。その理由は主に次の2つになります。
二次相続時には配偶者の特例が使えない
二次相続時には相続人の数が減るため、一人当たりの相続財産の額が大きくなる
二次相続時には配偶者の特例が使えない
相続税の申告時に、配偶者に対しては特別な優遇措置が適用されるため、配偶者の相続分が法定相続分相当額(または1億6千万円のいずれか大きい額)以下の場合には、配偶者には相続税はかからないことになっていますが、二次相続では配偶者も既に亡くなっているため、この税額軽減が適用できません。
例えば、一次相続の相続財産が1億6,000万円で、この全ての財産を配偶者が相続した場合、相続税は発生しません。しかし、二次相続になると配偶者が相続した財産にさらに配偶者固有の財産が加えられたものを遺産として子が相続することになり、その合計額に対して相続税が課税されます。一次相続では配偶者控除により相続税が発生しませんでしたが、二次相続では配偶者控除が利用できないため、非常に高額な相続税が発生してしまいます。
二次相続時には相続人の数が減るため、一人当たりの相続財産の額が大きくなる
基礎控除は「3,000万円+(法定相続人の数×600万円)」で算出されます。二次相続時には、一人頭数が減っているので、基礎控除の額がその分減ってしまいます。また、死亡保険金と死亡退職金についても、それぞれ法定相続人1人あたり500万円の非課税限度額が設けられています。こちらについても、二次相続時には頭数が減っているため、控除額が少なくなってしまいます。相続税は、相続財産の額が大きくなればなるほど、その税率も上がってしまうので、控除が少なく、大きな額の遺産にそのまま課税されると、相続税の額も跳ね上がってしまいます。
効果的な相続対策には二次相続を考慮したシミュレーションを
最終的に、子世代に残す財産を多くするためには、二次相続を考慮したシミュレーションが必要になります。単に一次相続時の相続税を安くするのではなく、一次と二次を含めたトータルの節税効果をみるためです。当事務所では、相続や遺言だけではなく、税理士と提携し、効果的な相続対策のシミュレーションも可能です。相続対策でお悩みの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。
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