第107回相続コラム withコロナに考えたい生前贈与とその必要書類
当事務所では不動産の生前贈与についてご相談やご依頼をいただくことが頻繁にあります。特にwithコロナという状況下においては、元気なうちに相続対策をしておきたいという需要があるのかと思います。今回の相続コラムでは、不動産の生前贈与やその必要書類等について解説します。
生前贈与とは
相続を待たずに、生きている間に財産を家族などに贈ることを一般に「生前贈与」と呼んでいます。
生前贈与のメリット
教育資金、結婚資金、住宅資金の優遇制度を活用したり、いわゆる「暦年贈与」等で節税を図ることができます。また、相続とは異なり、自由なタイミングで財産を移転することができます。
生前贈与のデメリット
上記のように相続対策、相続税対策に有効となる場合があります。ただし、一般的には相続税よりも贈与税の方が、税率が高く設定されているため、特に価値の高い不動産などの承継を少ない税負担で済ませるためには相続を待つ方が得であることが少なくありません。
そもそも不動産について生前贈与を行うかどうかについては、専門家にきちんと相談してから決定すべきでしょう。
司法書士に生前贈与を依頼
司法書士は不動産の名義変更のプロであり、法律の専門家です。不動産の生前贈与をする場合には、司法書士に手続を依頼することになると思いますが、その際は、以下の書類が必要になります。
生前贈与の必要書類
[贈与者(譲り渡す人)]
・印鑑証明書
・実印
・不動産の権利証(登記識別情報通知)
・課税明細書又は固定資産評価証明書
・本人確認書類
[受贈者(譲り受ける人)]
・認印
・住民票
・本人確認書類
生前贈与の流れ
例えばご主人から奥様に不動産を贈与する場合、ご主人の印鑑証明書と実印が必要になります。そして、ご主人が不動産を取得した際の権利証又は登記識別情報通知が必要となります(どちらが必要なのかは不動産によって異なるため、司法書士に確認してください。)。
不動産を受け取る奥様に実印は必要ありません。その代わり現住所が確認できる住民票が必要となります。
これらを揃えていただくと、司法書士が用意した贈与契約書等の調印書類にお二人それぞれ調印していただき、司法書士が法務局で所有権移転登記手続をすることになります。登記が完了すると、不動産の贈与を受けた奥様には新しい登記識別情報通知(従来の権利証)が司法書士から渡されることとなります。
その後不動産等の財産を受け取った方は、原則翌年の2月1日から3月15日までに贈与税の申告と納税が必要となります。当事務所では事前の納税見込額の試算の段階から税理士のご紹介をさせていただいております。
当事務所では不動産の贈与についてもご相談を承っています。お気軽にご相談ください。
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