第116回相続コラム 遺産分割協議がまとまらない。そんな場合の「遺産分割調停」について

相続コラム

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第116回相続コラム 遺産分割協議がまとまらない。そんな場合の「遺産分割調停」について

第116回相続コラム 遺産分割協議がまとまらない。そんな場合の「遺産分割調停」について

相続でよく問題になるのが遺産分割協議。難しいとされるポイントは、相続人全員の意志をまとめること。一人でも意見があわないといつまでも結論がでない結果になります。そんな時にとる手段が「遺産分割調停」。今回のコラムでは、遺産分割調停について解説したいと思います。

 

遺産分割調停とは

遺産分割協議は、被相続人が亡くなり遺言書がない場合に、相続人全員で遺産の分割について話しあうことをいいます。この遺産分割協議は相続人全員の合意を得る必要があります。全員の合意というのがポイントで、一人でも反対の人がいると協議は不成立となってしまいます。

この話し合いがまとまらない時に、家庭裁判所の力を借りて解決する手続きが遺産分割調停です。
具体的には、被相続人の遺産としてどのようなものがあって、それを相続人の間でどのように分けるかについて、家事審判官(裁判官)と調停委員で組織される調停委員会が、中立公正な立場で、申立人、相手方それぞれから言い分を平等に聞いて、調整に努めたり、時には具体的な解決策を提案するなどして、話し合いで円満に解決できるよう斡旋する手続です。

調停は、裁判とは異なり公開の法定で争うものではなく、裁判所が一種の仲裁役のような形で関与し、あくまでお互いの納得できる解決策を一緒に模索するようなイメージです。

 

遺産分割調停の手続き・費用・スケジュール

実際に遺産分割調停を進めるときの手続き、費用、スケジュールについて解説します。

【手続き】
①家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる

◆必要な書類
申立書(裁判所などでダウンロード可能)
相続関係を証明できる戸籍謄本一式
相続人全員の住民票(戸籍の附票)
遺産に関する証明書など

②裁判員と調停委員により各当事者に事情聴取が行われる

③合意ができたら、調停が成立して遺産分割調停は終了

【費用】
・収入印紙1,200円分
・連絡用郵便切手
・戸籍謄本など手続きに必要な書類の発行手数料
・専門家に依頼する場合は別途

【スケジュール】
・最初の調停期日:家庭裁判所に調停を申し立ててから約1~2か月後。相手方に申立書と呼出状などが送られます。
・調停期日:1~2か月に1回。1回1~2時間程度の話し合いが行われます。

遺産分割調停が決着するまでの審理期間は平均で1年弱と長期に渡ることがほとんどです。
ちなみに調停期日は平日の日中のみで、夜間や土曜日、日曜日、祝日には行われませんので、場合によってはもっとかかることも考えられます。

 

遺産分割調停でもまとまらない場合は遺産分割審判へ移行します

遺産分割調停でも話し合いがまとまらない場合は遺産分割審判で決着をつけることになります。遺産分割審判とは、調停のような話し合いの場ではなく、これまでの話し合いの結果や提出された資料、当事者の希望などから裁判所が審判を下し、遺産分割方法を指定する手続きです。

調停は、当時者の合意を目指して調整するのですが、審判となると、裁判所がどのように分割するかを指定します。つまり、必ずしも自分の思った通りにはならないということです。

 

もめごとになる前に専門家に相談するのが遺産分割をまとめるコツ

相続が「争族」になるのは、意見の不一致や相続人たちの環境など、家庭ごとにさまざまです。
利害関係や損得勘定、感情も相まって事態がより複雑化するということもあります。それは最初の段階で勘違いや入れ違いが原因で引き起こされることも。いさかいの糸が絡まる前に、専門家に相談しておくと、事態が円滑に進むこともあります。家族間にしこりを残す前に、ぜひ相談だけでもお声がけください。