第55回相続コラム 簡単には引き出せない!?銀行預金の相続

相続コラム

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第55回相続コラム 簡単には引き出せない!?銀行預金の相続

第55回相続コラム 簡単には引き出せない!?銀行預金の相続

相続が発生し、亡くなった方の銀行預金を相続人が引き出すのは簡単なことではありません。ATMや窓口で自分の預金からお金を引き出すのとは全く違う手続が要求されます。今回は、銀行預金を相続した際の手続きや注意点を解説したいと思います。

口座の凍結

金融機関が口座名義人の死亡を確認すると口座が凍結されます。口座が凍結されると預金引き出しができなくなります。これは、口座名義人が死亡し相続手続きが行われるまでの間に、預金が勝手に引き出されることを防ぐために行われます。

口座凍結前の引き出し

口座名義人が死亡しても、金融機関が死亡を把握しなければ、口座は凍結されません。ですので、凍結前であれば、キャッシュカードの暗証番号を知っていれば、ATMで預金を引き出すことができてしまいます。

しかし、これを行うと様々なリスクがあります。

他の相続人とのトラブル

被相続人の預金口座は、遺産分割協議の対象ですから、勝手に引き出して使うことは本来許されません。引きだしたお金を何かに使用してしまうと他の相続人とのトラブルの原因となる可能性もあります。被相続人の財産を預かり、例えば葬儀費用等に使わなければならない事情がある場合は、トラブルを回避するために領収書等の資料を必ず残す必要があるでしょう。

相続放棄や限定承認ができなくなる

引き出したお金を自分のために使ってしまうと、相続を受け入れる意思表示をしたものとみなされ(単純承認)、相続の放棄や限定承認ができなくなります。後日、故人に多額の借金のあることが発覚したような場合に、大きなリスクとなるので注意が必要です。単純承認・相続放棄・限定承認について詳しくは「第15回相続コラム 単純承認、相続放棄、限定承認の3種類のパターン」をご覧ください。

これらのリスクを踏まえ他の相続人とのトラブルを避ける意味でも、なるべく早く金融機関に被相続人の死亡の事実を届け出して口座を凍結するのが安全です。市区町村に死亡届を提出するだけでは足りませんので、別途手続きをする必要があります。

口座凍結の解除方法

凍結された口座から預貯金を払い戻したり名義変更するには、一般的に以下の書類が求められます。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書
被相続人名義の通帳やキャッシュカード
遺言書又は遺産分割協議書

これらを全て揃えるのは相続人にとって簡単ではありません。戸籍を集める事務作業は煩雑で場合によっては1~2ヶ月かかることもあります。遺言があれば比較的スムーズですが、自筆証書遺言の場合は家庭裁判所で検認の手続を事前に済ませなければなりません。遺言がない場合は相続人全員で遺産分割協議をまとめた上で遺産分割協議書を作成しなければなりません

各相続人に決められた割合に預貯金を分割する場合、各相続人がそれぞれ手続すると手間がかかるため、相続人の代表が事務手続を一括して行うのが一般的です。必要書類を全て揃えて金融機関に提出しても手続が完了するまでに1~2週間はかかります。

預貯金の相続手続についても、当相談所が遺産整理業務として受任し、面倒な手続のほぼ全てを代行させていただくことが可能です。数多くのご依頼をいただいております。預貯金の相続手続について、手続が進まずに困っている方や忙しくて時間の取れない方はぜひ当事務所にご相談ください。