第112回相続コラム 相続の対象とそうでないもの – みなし相続財産にも注意

相続コラム

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第112回相続コラム 相続の対象とそうでないもの – みなし相続財産にも注意

第112回相続コラム 相続の対象とそうでないもの – みなし相続財産にも注意

故人が残した遺産については、現金・預金や不動産などはもちろん借金や負債などのマイナスの財産の全てが遺産として相続されるのが原則になります。しかし、例外的に相続財産とはならないものもいくつかあります。今回のコラムでは、相続財産の対象についてまとめてみたいと思います。

 

相続の対象となる財産と相続税の課税対象となる財産は別

繰り返しになりますが、基本的には、故人の残した財産は全て相続の対象になるのですが、例外的に対象にならないものがあります。よく混同されがちなのが、相続税の課税対象となるのかならないのかという話です。相続の対象になるかどうかと、相続税の課税対象になるのかどうかは、別のお話なので、分けて考える必要があります。

 

相続の対象となる財産

ではまず、相続の対象になる財産から説明しましょう。
原則的に、下記のようにプラスの財産もマイナスの財産も相続の対象となります。

プラスの財産

現金、預貯金、債権(貸付金、配当金、貸金債権、損害賠償請求権)、土地、家屋、自動車、駐車場、借地権、事業財産、家財、有価証券、投資信託、著作権、受取人が本人と指定されている生命保険金など

マイナスの財産

借金、住宅ローン、未払金、債務保証など
※保証の種類によっては相続の対象にならないものもあります。

 

相続の対象とならない財産

以下のような財産は、例外的に、相続の対象とはなりません。

祭祀財産
香典・葬儀費用
葬祭費・埋葬料
故人のみに帰属する権利
故人以外が受取人の生命保険や死亡退職金

祭祀財産、つまり仏壇やお墓などは祭祀を継承する人が引き受けるため、遺産という扱いにはなりません。遺産にはならないので、当然遺産分割等をしないことになり、祭祀を継承する人を1人決めることになります。

香典・葬儀費用などの葬式費用は相続開始後に発生した贈与や債務としてみなされるため、これも遺産にはなりません。遺産にはならないということは、遺産分割の対象にもならないので、誰が香典をもらうのかや葬儀費用等を誰が負担するのかで親族間でもめるケースもあるので注意が必要です。

故人のみに帰属する権利というのは、簡単に説明すると、その人だからこそ与えられるべき、または負担するべき権利や義務のことです。例えば、養育費の請求権や支払い義務、生活保護や年金の受給権や国家資格などです。

死亡保険金や死亡退職金は受取人がいるので、こちらも相続の対象にはなりません。受け取った方のものになり、遺産分割の対象にはなりません。

 

みなし相続財産

本来は相続財産ではないのですが、税法上、相続財産とみなされ相続税の課税対象となるものがあります。これを「みなし相続財産」といいます。代表的なものが、死亡退職金と死亡保険金です。

死亡退職金も死亡保険金も、相続財産ではない、つまり、遺産分割の対象ではないので、相続人の間で分割するということはありません。ただし、受け取ったお金について税金はかかります。死亡保険金等を受け取る方は、多くの場合は、相続人に該当するような方なので、通常の贈与税等ではなく、相続財産を受け取ったものとみなして相続税の課税対象として処理することになります。

 

迷ったら専門家に相談

何が相続財産なのか、遺産分割の対象になるのか、相続税の課税対象は何かなどについては、専門的な判断が必要な場合もあるので、迷ったら専門家に相談することをおすすめします。当事務所でも無料相談や各種専門家の紹介を行っていますので、お気軽にご相談ください!