第213回相続コラム 相続手続きや終活で活躍する財産目録とは何か

相続コラム

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第213回相続コラム 相続手続きや終活で活躍する財産目録とは何か

第213回相続コラム 相続手続きや終活で活躍する財産目録とは何か

突然ですが、『財産目録』というものをご存知ですか。財産目録は、日常的に作成するものではありませんし、普段生活する中では馴染みの薄いものかもしれません。しかし、遺産整理の際や終活の際に、あると重宝するのが財産目録です。今回のコラムでは、財産目録とは何か、どのような場面で活用されるのかについて解説したいと思います。

 

財産目録とは

財産目録とは、被相続人(=相続される人)の、特定の時点における、保有するすべての財産について、その区分、種類ごとに一覧にし、財産の状況を明らかにしたものを指します。

保有する財産には、現金や預金、不動産などのプラスの財産だけではなく、借金やローンなどのマイナスの財産も含まれます。また、財産の名称だけではなく、その数量や価額、不動産であれば所在地など、財産を具体的に特定できる情報も合わせて記載するのが特徴です。

 

財産目録を活用する場面・作成するメリット

遺言書の作成時

終活の際に欠かせないのが遺言書の作成。そして、遺言書を書く際には、誰にどの財産を相続させるのか、具体的に特定する必要がありますが、財産目録があると、その財産の特定が容易になります。

もちろん、遺言書本文に、財産の内容を具体的に書き記し、特定することも法律上問題はありませんが、自筆証書遺言を作成する際には、本文は自書=全て手書きすることが必須となるため、財産が多い場合には、一つ一つの財産の詳細を手書きすることは非常に手間と時間がかかります。

その点、財産目録については、一定の要件さえ満たせば、自書する必要がないため、財産の詳細について手書きする手間を省くことが可能となります。

また、目録という形で財産の一覧を作成することによって、遺産の全体像を把握することにつながり、節税対策や遺留分対策を検討する際の有益な資料となります。

財産目録を作成すると、
・遺言書を作成する際のわかりやすい資料となり、自書する手間も省ける
・節税対策・遺留分対策等、広く相続対策に活用できる

 

相続発生時

実際に相続が発生した際には、遺言がなければ遺産分割協議を行うことになりますが、その際に、相続財産の全体像を把握していないと、協議のしようがありません。つまり、誰がどの財産を相続するのか話し合う前提として、そもそも相続財産にはどのような財産が、どのくらい存在するのか把握するためのツールが財産目録ということになります。

相続人が遺産の全てを調査するのは非常に手間がかかるため、予め被相続人が財産目録を残していると、調査にかかる相続人の手間と負担を大幅に軽減することに繋がります。また、相続税を申告する際にその計算に利用したり、納付する際の添付資料として用いることもできます。

なお、遺産分割協議時に財産目録を作成することは、法律上要求されているわけではありませんが、遺言書がのこされており、遺言執行者が選任されている場合には、遺言執行者は財産目録の作成が法律上の義務とされているので注意が必要です。

遺言執行者の義務について詳しくは
第68回相続コラム 遺言執行者がすべきことって何?」をご覧ください。

 

・相続財産の全体像を把握するためのツールとなる
・予め財産目録を残しておくと相続人の手間を大幅に軽減できる
・相続税の計算や申告時の添付資料として活用できる
・遺言執行者は財産目録の作成が必須

 

おわりに

今回のコラムでは財産目録とは何か、その活用場面・メリットについて解説しましたがいかがだったでしょうか。「終活として、遺言を作成しようと思っているが、何から始めたらいいのかわからない」という方は、まずは、財産目録を作成し、ご自身の財産にはどのようなものがどのくらいあるのかを把握することからはじめてみてはいかがでしょうか。目録というわかりやすい形で財産を俯瞰してみると、それを誰に相続させるか、または、させないのか等を思案する手掛かりとなるはずです。

当事務所では、長年相続問題に取り組んでおり、相続に関する相談を広く受け付けております。相談は初回無料となっておりますので、相続についてお悩みのある方は、お気軽にご相談ください。財産目録に興味のある方には、わかりやすいテンプレート・雛形もご用意しております。