第183回相続コラム 基本から学ぶ養子縁組を活用した相続対策

相続コラム

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第183回相続コラム 基本から学ぶ養子縁組を活用した相続対策

第183回相続コラム 基本から学ぶ養子縁組を活用した相続対策

「相続対策に養子縁組が有効だ」、「養子縁組を利用すると相続税が安くなる」などの話を聞いたことのある人もいるのではないでしょうか。今回のコラムでは、そもそも養子縁組とは何か、養子縁組が相続にどのように影響するのかについて基本から解説したいと思います。

 

養子縁組とは

養子縁組とは、血縁関係とは無関係に、法律によって、親子関係を生じさせる制度をいいます。養子縁組によって親になった者を養親(ようしん)、子になった者を養子(ようし)と呼びます。

養子縁組が成立すると、血縁関係にある実子と同様に、養子も養親の法定相続人となります。

 

普通養子縁組と特別養子縁組

実は、養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組の2種類があります。

両者は、実の親との親子関係が継続するか否かという点で大きく異なります。

普通養子縁組の場合には、養子縁組が成立したとしても、実の親との親子関係に影響はなく、そのまま親子関係は継続します。つまり、親子関係が複数成立することになります。子は、実親の法定相続人の地位を失わずに、養親の法定相続人という地位も取得することになります。

それに対して、特別養子縁組は、実の親との親子関係を断ち切って、養親との間に親子関係を発生させます。つまり、特別養子縁組が成立すると、子は、実の親とは、法律上、親子関係が消滅するため、その法定相続人としての地位も失います

特別養子縁組は、実親との親子関係を断ち切るという特別な効力を有するため、普通養子に比べて厳格な手続きが必要となります。常に家庭裁判所の許可が必要であったり、養子が6歳未満でないと縁組をすることはできません。ですので、通常、相続対策として検討されるのは、普通養子縁組であるのが一般的です。

 

養子縁組と相続対策

養子縁組が相続対策に有効と考えられるのは、次の2点が大きな理由となります。

1.血縁関係にない者に相続権を与えられる
2.法定相続人の数を増やし節税効果を得る

 

血縁関係にない者に相続権を与えられる

当然ですが、全く無関係の他人は相続人にはなれません。遺言などで遺産を譲ることはできますが、遺言はいつでも撤回が可能ですし不確定な要素も存在します。また、他人への贈与と相続では、財産を譲り受けた際の税金が異なります。そして贈与税は相続税に比較して相当高額となります。

例えば、「献身的に介護してくれた長男の妻に財産を残したい」という場合に、その長男の妻を養子にするという利用法があります。

 

法定相続人の数を増やして節税効果を得る

相続税を計算する際には、法定相続人の人数が影響する様々な控除制度や非課税枠がありますので、控除額や非課税枠が増えれば、その分の節税効果が見込めます

例えば、相続税の基礎控除額は、【3,000万円+600万円×法定相続人の数】という計算式で求めらるところ、法定相続人の数が1人増えると600万円分控除額が増えます。

生命保険や死亡退職金についても、【500万円×法定相続人の数】という式で求められる非課税枠がありますので、それらについても法定相続人の数が増えると、その分節税効果が見込めます。

また、自身の孫を養子にすると、上記に加え、二次相続対策にもなります(相続の回数が減るためその分節税できる)。

 

養子の人数と相続税法上の注意

親子関係を定めた民法上では、養子の人数に制限はありませんが、税金について定めた相続税法では、控除対象となる養子の人数に制限があるので注意が必要です。

被相続人に実子がいる場合、法定相続人の数に含めることができる養子の数は1人までです。被相続人に実子がいない場合、法定相続人の数に含めることができる養子の数は2人までです。

ただし、特別養子縁組による養子や、配偶者の連れ子を養子にした場合、代襲相続で相続人になった養子は実子と見なされ、人数制限は受けません。

 

相続対策で養子縁組するなら専門家へ相談

相続対策として養子縁組を活用するのは有効ですが、民法上の手続きや法的問題だけではなく、相続税法上の扱いなど、様々な法律が複雑に絡むケースが少なくありません。また、そもそも養子縁組以外の別の有効な手段が存在するケースもあります。ですので、相続対策として養子縁組を活用する際には、専門家に相談の上、対策されることをおすすめします。

当事務所では、30年以上、相続問題に携わってきた実績があり、相続に関する相談を初回無料にて受け付けております。相続対策でお悩みのある方は、お気軽にご相談ください。